本気で信じて向き合う

〜能力をまっすぐに伸ばせる社会〜

2014年11月3日

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長男が東京在住時に所属していたサッカーチームの試合に久しぶりに呼んでいただきました。


東京を離れた当初は比較的短い頻度で試合に参加していましたがすでに東京を離れ、1年以上が経ち、長男もこちらの生活を楽しみだしているため3ヶ月ほど伺っていませんでしたが今回ちょっと事情があり呼んでいただきました。


実はこのチームは、別々なグランドを練習場にする2つのグループに分かれており、Aグループは内陸側、Bグループは海側のグランドを利用しており、両グループは試合のときのみ会うという関係でした。

また、Aグループの方が人数が多く、逆にBグループは人数が少なくBグループだけで8人制のチームを組めないような状況です。

そのような状況が原因か分かりませんが長男が所属している頃からチームとしての実力差がありました。


また、長男が所属している頃からそうでしたが、そんな2つのグループを持つチームが試合に挑む場合Aグループの中にBグループのメンバーが組み込まれ、その結果Aグループの子供たちはすぐにBグループメンバーの実力を見抜きBグループのメンバーを相手にしなくなり、Bグループのメンバーは益々萎縮していくという状況があり、Bグループの中でのリーダー的な存在だった長男が抜けた後は、益々その状況がひどくなり、もうサッカーを楽しむどころではなく、どんどん嫌になって言っているとのこと。

そんな中、長男の親友のおかあさんがその状況を打破すべく、一度Bグループメンバーだけで試合をさせてほしいとコーチに嘆願し、なんとか長男が参加すればBグループだけで行けるという状況まで持ってきたのです。


Bグループのメンバーは、ほぼ全員長男の幼稚園の同級生、仲良しメンバーで試合に挑んでいきました。



最初の試合は、可もなく不可もなく試合は拮抗し、0−0で引き分け。

2試合目は、実力は拮抗しているもののちょっとした隙に1点取られ、0−1で負け。

3試合目は、段々疲れが見え始め、また勝てないことから飽き出してきたようで0−3で大敗を喫しました。


ここで次の試合までの間に1時間ほど時間が空いたため、なんとかこのチームを勝たせてあげたいと思案。

そんなときにコーチをお見受けしたのでお声がけしたところ、コーチもどうやったら勝てるか悩んでおり、一緒に考えることにしました。


コーチも私も課題と考えている点は共通していました。


1つ目は、メンバー構成に起因しますが、チーム内で走力とキック力がある選手は二人、それに体格が大きい二人となんとなく傍観者になっている時間が長い4人で構成されています。

最初の3試合、このチームで勝つためということで、走力とキック力のある二人を攻めと守りに分けて配置し、攻めと守りのバランスを取る戦術をとっていましたが、この戦術がワークせず3敗。

敗因は明らかで「攻め」と「守り」を分けてしまったため「攻め」のメンバーは「守り」を怠り、「守り」のメンバーは攻めることを躊躇してしまい、その結果攻めどころでは攻めきれず、守るべきときには守りきれず、という状況に陥っていたのです。


2つ目は、気持ちの問題。

このチームの子供たちは、試合に負けても悔しそうではないということ。

それを元々そういう性格の子供たちというのは簡単であるが、私は個人的にはそうは思いませんでした。

一生懸命やっているのに勝てない、勝ち方も分からないというような状況では子供たちは悔しい気持ちを自分たちの中でどうにか処理しようとする力が働き、その結果勝ちへの執着がないように見えるのではないだろうか。

私には、この日の子供たちがそのように見えてなりませんでした。


上記2点を踏まえ、次の最終戦に勝つべく、コーチと二人で考えだした作戦は、シンプルなものでした。

攻め役、守り役とメンバーを分けるほどチーム全体の実力が高くないことからとにかく「全員で攻め、全員で守る」という作戦です。

正確には、身体が大きい子を一人守りに残し、その子とキーパー以外は全員攻めも守りもするという戦術である。

点ではなく面で対応できるため攻めも守りの機能があがると考えたのです。ただ、この戦術は元々良く走る走力がある二人に大きな負担がかかることが最大の弱点ですが最後の試合ということでこの戦術にかけました。


戦術は決まりましたが、その戦術を活かすも殺すも子供たちのやる気次第。

まずは、戦術を理解してもらうために集中力を切らしがちの子供たちにコーチから何度も何度も説明しました。そして、私からも時間をあけて再度同じ説明しました。

次に子供たちの心に火をつけるべき、コーチを中心にお父さんやおかあさんから発破をかけました。


そして、最終戦。

結果は0−0の引き分けでしたが、チームの一人ひとりが休むことなく、一人もさぼることなく、初めて試合の最初から最後まで一人ひとりが全力で取り組んでいたのがよく分かる試合でした。

私は一メンバーの父親ですが、目頭が熱くなるのを感じました。

また、やっぱり、大人がキチンと子供たちを信じ、向き合い、ちゃんと説明すれば子供たちは分かるんだ、そして、やはり、彼らは悔しかったんだということがよくわかりました。


今日の試合は全4試合で2敗2引き分けでしたが、次回はきっと勝てるという確信を得た一日でした。

また、誰よりも走った長男は車に乗った瞬間に爆睡。本当に良くがんばった長男を誇りに思う一日でもありました。


余談ですがその日の夜、長男とお風呂に入っている時に長男がその日の試合の敗因について話しだし、その内容があまりに的を得ていることに私はとても驚き、更に次回も試合に呼んでもらえたら必ず点を取ると言っている長男を見てとても頼もしく感じました。

また、翌日この試合に呼んでくれた長男の親友のおかあさんから妻にメールが入り、サッカーをやめたがっていた子供が昨日の試合に出たあと、サッカーを続け、◎◎くん(うちの長男)のようにうまくなりたいと言っていたと聞きました。

親ばかで恐縮ですが、そんな風に周りの子供たちをやる気にさせるうちの長男ってすごいなと改めて誇りに思いました。


子供って本当にちょっとしたことで傷つきもするし、勇気づけられもします。

また、子供は大人が思うほど馬鹿ではなく、実は大人の考えていることを敏感に感じとるものです。

大人が子供たちのことを諦めているとそれを敏感に察し、駄々をこねてみたり、集中力を切らしたりします。

でも、大人が本気で信じ、向き合い、出来るまで、分かるまで付き合えば子供は必ず応えます。

それが子育てだったり、子供を指導する方々の楽しみであり、醍醐味だと思います。


東京のこのサッカーチームの子供たちは長男の幼稚園の同級生であり、幼稚園の行事にフル参加している私は、一人ひとりのことをよく知っており、思い入れもあります。

それだけにこれからもみんなが楽しくサッカーができるような環境をぜひ維持していってほしいなと心から祈るとともに私と長男も遠くからではありますが出来る限りことをしたいと思います。